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非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会報告書


平成16年7月1日

第1 はじめに
1 病院外の心停止の発生と医療の状況

(1)我が国の救急医療対策と心原性心停止の発生件数
  • 我が国の救急医療対策については、これまで、主として外来医療を担う初期、入院が必要な重症患者に対応した二次及び多発外傷等の重篤患者を受け持つ三次の段階を追った救急医療施設と、救急医療情報センターからなる救急医療体制の計画的かつ体系的な整備を推進してきた。また、平成3年に救急救命士制度を発足させるなど病院前救護体制の充実にも努めてきたところである。

  • 病院外の心停止の発生については、救急搬送活動を通じて収集された1990年代後半を中心とした一部地域のデータの解析によると、年間の発生頻度は人口10万人当たり34〜49件で、このうち心原性心停止の発生率は18〜26件であった1)。このことから、病院外の心原性心停止の件数は、年間2〜3万件程度と推定される。

  • 心疾患による死亡者数は平成13年148,292人、平成14年152,518人、平成15年163,000人2)と、増加する傾向にある。今後も、高齢化の進展により心筋梗塞等の心疾患が増加する見通しである。


(2)緊急の除細動を必要とする不整脈の原因となる疾患
  • 病院到着時に心停止状態であった患者の剖検の報告3)や、東京都監察医務院が行った剖検の報告4)によると、心原性心停止をもたらす具体的疾患としては、虚血性心疾患を中心とし、心筋症、心筋炎、大動脈解離などが含まれる。

  • 虚血性心疾患によって突然死をきたす病態としては、心室細動による不整脈死、ポンプ機能の不全、心筋の破裂などがあり、それぞれの頻度は十分に明らかとなっていないものの、虚血性心疾患を原因とした心室細動及び無脈性心室頻拍の頻度は相当程度高いものと考えられている。

  • 従って緊急の電気的除細動を必要とする心室細動及び無脈性心室頻拍の原因となる具体的疾患としては、虚血性心疾患を中心として、その他、心筋症など、これらの不整脈を生じる疾患が含まれるものと考えられている。

(3)電気的除細動の効果
  • 心臓は、刺激の伝達と心臓の収縮が秩序をもって規則的に起こることで、全身へ血液を流すという機能を果たしている。このため、刺激の発生と伝達が不調になると、心臓の拍動と血液の流れも影響を受けることがある。このうち、心室細動は、心室のいろいろな部分が無秩序に興奮し、その結果、規則的な心室の動きがなくなってしまう状態であり、これによって全身の血液の流れが止まるものをいう。また、無脈性心室頻拍は、心室で多くの刺激が規則的に生じる心室頻拍のうち、頻度が多すぎることによって心室の収縮機能が十分果たせず、全身の血液の流れが止まってしまうものをいう。

  • 電気的除細動は、心臓に一過性の高エネルギーの電流を流し、この電気ショックによって心臓の異常な興奮を抑制して、正常な刺激の発生と心臓の動きを取り戻す治療法であり、心室細動や無脈性心室頻拍といった生命に関わる重大な不整脈が生じた際には、直ちに行わなければならない。

  • 心電図が心室細動又は無脈性心室頻拍の波形を示す場合に救命が成功する可能性は、発症から基本的心肺蘇生処置が開始されるまでの時間と、発症から電気的除細動が行われるまでの時間によってほぼ規定され、より迅速に実施された場合ほど救命率は良好であることが示されている。

  • 一方で、救急搬送の充実により、119番通報から救急隊員の現場到着までに要する時間は平均6.3分程度(平成14年)5)となっているが、救急隊員の到着までの間に現場に居合わせた者( バイスタンダー)等によって電気的除細動が速やかになされれば、救命にとって有効となることが期待される。


2 自動体外式除細動器を用いた除細動の医行為該当性

  • 電気的除細動に用いられる医療機器(除細動器)は、1947年、米国において臨床で使用されて以来、約60年が経過している。この間、他の医療機器と同様に、小型で携帯性に富み、かつ、安全で操作性の高いものとして、自動体外式除細動器(AED(Automated External Defibrillators)。なお、本報告書では、対象者に電極を貼付すれば、機器が心電図波形を自動的に解析し、電気的除細動が必要かどうかを判断・表示し、必要な場合に限り使用者がボタンを押すことで通電が可能なものをいうこととする。) が開発されている。除細動を行うべきでないと判断される場合には、使用者がボタンを押した場合でも、通電できないようあらかじめ設計されている。また、通電時に対象者に触れないようにすることなど、実施に際して必要となる注意事項についても、自動音声で使用者に警告するなど、安全に使用できるよう様々な配慮がされている。

  • これまでの研究で、自動体外式除細動器を使用した場合の事後検証が行われており、電気的除細動が緊急に必要でなかったにも関わらず電気的除細動を目的として通電したという事例は無かったことが示されている6,7) 。

  • しかし、自動体外式除細動器を用いる場合でも、

    ・対象者の意識及び呼吸の状態を確認すること
    ・対象者にペースメーカーが埋め込まれていないか,貼付薬剤が使用されていないか等を確認すること
    ・対象者の周囲に水などの伝導性の物質がないか確認すること

    等は必要であり、これを怠れば、対象者の生命身体に危険を及ぼすだけでなく、使用者の生命身体に危険が及ぶ可能性がある。このようなことからも、心停止者に対する自動体外式除細動器の使用については、医学的知識をもって行うのでなければ傷病者の生命身体に危険を及ぼすおそれのある行為、いわゆる「医行為」に該当するものと考えられ、これまでは医師又は医師の指示を受けた看護師若しくは救急救命士がその専門的知識に基づき行うものとされ、これらの者以外の者(以下「非医療従事者」と総称する。)の使用については、反復継続する意思をもって行うことは認められていなかった。
    (注)医師でない者が医行為を反復継続する意思をもって行えば、医師法(昭和23年法律第201号)第17条違反となり、刑事罰が科される。

  • 一方で、救急救命士の業務拡大については、平成14年以降有識者による検討会で議論され、平成15年から平成18年にかけて、順次拡大が図られることとなった。このうち、電気的除細動については、平成3年に救急救命士制度が創設された当初から、医師の具体的指示の下で、除細動を実施することが認められていたが、医師の指示を受けるまでに時間が要することもあったことから、追加講習の受講や、事後検証を的確に行いうるメディカルコントロール体制の整備などを条件に平成15年4月より医師の包括的指示下での除細動の実施が認められている。


3 非医療従事者による自動体外式除細動器の使用に関するこれまでの政府の対応

  • 平成15年の構造改革特区提案に際し、心停止者に対し、救急隊員の到着までの間に現場に居合わせた者(バイスタンダー)が電気的除細動を速やかに行うことがより有効であるとの観点から、非医療従事者による自動体外式除細動器の使用を認めるべきとの提案がなされた。その際、自動体外式除細動器については、米国や英国などの一部の諸国で、講習を受講した一般市民にもその使用が普及しており、その安全性・信頼性について、概ね評価が確立していることが指摘されたところである。

  • 同年9月、政府は、構造改革特別区域推進本部の決定として、少なくとも次の4つの条件を満たす場合には、非医療従事者が自動体外式除細動器を用いても、医師法違反とならないものとするとの方針を明らかにしたところである。

    【1】 医師等を探す努力をしても見つからない等、医師等による速やかな対応を得ることが困難であること
    【2】 使用者が、対象者の意識、呼吸がないことを確認していること
    【3】 使用者が、自動体外式除細動器の使用に必要な講習を受けていること
    【4】 使用される自動体外式除細動器が医療用具として薬事法上の承認を得ていること

  • 当検討会は、このような状況を踏まえ設置され、救急蘇生の観点からみた非医療従事者による自動体外式除細動器の使用条件のあり方、自動体外式除細動器の使用に係る講習などの必要な環境整備や、自動体外式除細動器に関する国民の理解の促進及び普及啓発を図る方策等について検討し、その考え方をとりまとめたものである。

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第2 非医療従事者が自動体外式除細動器を使用する条件についての考え方
1 非医療従事者の参画による救命の体制強化
  • 前述のとおり、救急医療体制や病院前救護体制は、これまで、関係者の努力により充実・強化が図られてきている。これをより一層推進するためには、救急隊員の現場到着を早める努力と並んで、「救命の連鎖」をその出発点において、より多くの人々の参画により強化することが必要である。一般市民を含めた幅広い非医療従事者が参画し、救急救命士を始め救急搬送に従事する者に適切に引き継ぐことにより、「時間の壁」を乗り越えることに資するものであるべきである。
2 傷病者の安全の確保
  • 時間を争う救急蘇生の局面にあっても、何にもまして、傷病者の安全が優先されなければならないことは論をまたない。非医療従事者が自動体外式除細動器を使用方法に則り適正に使用する場合の救命率向上に資するものとし、使用に伴う傷病者の不利益をゼロに近づけるとの方向にかなうものであるべきである。
3 使用者の安心の確保による積極的対応
  • 救命の現場に居合わせた一般市民を始めとする非医療従事者が、安心感・自信をもって、積極的に救命に取り組むことを促すようにするものであるべきである。

  • 上記の4条件は、業務の内容や活動領域の性格から一定の頻度で心停止者に対し応急の対応を行うことがあらかじめ想定される者が自動体外式除細動器を用いたときに医師法第17 条との関係で示されたものである。一方、救命の現場に居合わせた一般市民が自動体外式除細動器を用いることは一般的に反復継続性が認められず、医師法違反にはならないものと考えられる。医師法違反の問題に限らず、刑事・民事の責任についても、人命救助の観点からやむを得ず行った場合には、関係法令の規定に照らし、免責されるべきであろう。

  • 当検討会が示す条件は「法違反に問われない」、「損害賠償責任を問われない」という、言わば消極的な安心感を与えるものにとどまらず、医学的知識を含め救命についての理解に立って、自信を持って救命に積極的に取り組むことを促すものであるべきである。
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第3 非医療従事者の自動体外式除細動器の使用に当たっての条件整備

  • 上記第2の考え方に則し、当検討会として、政府の構造改革特別区域本部決定の4条件を改めて検討したところ、概ね妥当であり、これらに比肩するまとまりをもった条件で追加すべきものはないとの結論に至った。

  • その上で、これら4条件の具体化に向け検討したところ、それぞれ以下のようなものとすることが適当との結論を得た。なお、4条件の順番は重要性の順を示すものでなく、自動体外式除細動器の使用に当たっての時間的な先後を示すものでないことに関係者は留意すべきである。
1 医師等による速やかな対応を得ることが困難であることについて
  • 医師等による速やかな対応を得ることが困難なときにあっては、心停止者に対する処置が緊急を要することを考慮し、より迅速に除細動が開始されるよう努めることが適切である。
2 対象者の意識と呼吸がないことの確認について
  • 自動体外式除細動器は、心停止を伴う不整脈について、除細動が必要である場合を判別する機能を備えており、心停止を伴わず、対象者の意識がある状況で誤って通電する可能性は低いと考えられるが、関連する基本的心肺蘇生処置の実施を含め、除細動の実施には、呼びかけや身体の接触に反応が無いこと、呼吸がないことを確認することが前提として必要である。

  • なお、これらの確認のための具体的方法については、3(1) の講習の内容に含まれることが必要である。
3 自動体外式除細動器の使用に関する講習について
  • 心停止者が救命される可能性を向上させるためには、迅速な基本的心肺蘇生処置と、迅速な電気的除細動が、それぞれ有効であることが明らかとなっている。また、自動体外式除細動器の使用に当たって、意識や呼吸の有無を的確に判断する技能を身につけることが必要である。これらのことから、自動体外式除細動器の使用に関する講習において、既に基本的心肺蘇生処置に習熟していると考えられるなどの場合を除き、基本的心肺蘇生処置を含むことが適切と考えられる。

  • ただし、基本的心肺蘇生処置は、いったん習得してもその技能の維持が必ずしも容易ではないなど、課題があることが指摘されている。また、基本的心肺蘇生処置を伴わずに、電気的除細動だけを行った場合にも、特に発症直後では優れた効果が認められている。そのため、自動体外式除細動器の使用の普及に力点を置き、救命への国民の参加の意欲を喚起することに資するものとすべきとの考え方にも留意すべきである。

  • 当検討会としては、これらを総合的に勘案し、講習について次のように具体化を図った。その際、この講習は、第2の3に示したとおり、救命の現場に居合わせ自動体外式除細動器を使用する一般市民については、医師法との関係で義務的な条件とはならないものの、自信を持って積極的に救命に取り組むためのものであるとの認識が、関係者に共有される必要があるものと考える。
1)講習の内容及び時間数
  • 病院外での基本的心肺蘇生処置や電気的除細動の実施を起点に、搬送途上における処置を経て、医療機関での治療までといった救命のために行われる「救命の連鎖」の一環を非医療従事者が担うことが期待されるものであることから、講習では、非医療従事者に、救急搬送を経て救急医療への実施という一連の流れと、その中における行為者自らの位置付けを理解してもらうことが必要である。さらに、早期の電気的除細動の必要性と効果、自動体外式除細動器の安全な操作法について講習を通じて理解してもらうことが必要である。

  • 除細動の準備ができるまでの間や、心静止状態(心停止のうち、心筋の収縮が全くなく、心電図でも何ら波形が見られない状態)にあって自動体外式除細動器の自動解析機能がその心停止者について除細動の適応がないと判定した場合など、心臓マッサージ等の基本的心肺蘇生処置を行うことが期待される場合があることや、意識や呼吸の有無を的確に判断する技能を身につける点から、講習では、心臓マッサージ等の救命処置の基本を理解してもらうことが必要である。

  • また、講習の実施に当たり、効果的に知識・技能の習得がなされるよう、講義にあわせ、機器等を用いた実習を適宜組み合わせて行う必要がある。

  • これらの内容を含む講習については、受講する非医療従事者に過度の負担を生じさせることなく、より多くの国民に自動体外式除細動器の使用を普及させる観点を加味すれば、講師の技量や、講師に対する生徒数、実習に用いる自動体外式除細動器の数などの状況により変動するものの、概ね3時間程度で必要な内容を盛り込み実施可能と考えられ、その時間数の中で、概ね別紙(PDF)程度のものを履修することが適当である。
(2)講師
  • 関連する基本的心肺蘇生処置及び自動体外式除細動器の使用に関する十分な知識・経験を有する有資格者が講師を務めることが望ましい。

  • 上記の者の他、地方公共団体の消防担当部局や公的な団体が実施する一定の講習プログラムを終了した非医療従事者が、一般市民を対象とした基本的心肺蘇生処置の指導員となり、これまでも講習のすそ野を広げることに貢献してきている実績に鑑み、自動体外式除細動器の使用に関する教授法を含む指導教育プログラムを終了した者も講師として活用するべきである。

  • このため、自動体外式除細動器を始めとする救急医療の実情を熟知するとともに、各種の救急医療関係の講習の実績を有している公的な団体において、関係学会等の協力を得て、講師養成のための指導教育プログラムを作成し、その普及を図ることが適当である。
(3)多様な実施主体を通じての講習の質の確保
  • 自動体外式除細動器の使用に関する理解が国民各層に幅広く行き渡る必要性があることから、職域や教育現場で実施される講習も含め、多様な実施主体による対象者の特性を踏まえた多様な講習が実施されることが期待される。

  • 救命の質と除細動を受ける者の安心を確保するために、講習の内容、講師、用いる教材・機材等については、上記(2)の公的な団体が、講習を実施する主体からの相談に応じ、情報提供や技術的助言を行うことを通じて、その質の確保を図ることが考えられる。
(4)講習対象者の活動領域等に応じた講習内容の創意工夫
  • 非医療従事者のうち、業務の内容や活動領域の性格から一定の頻度で心停止者に対し応急の対応をすることが期待・想定される者を対象に実施される講習にあっては、上記(1) の、いわば共通の内容に加えて、その活動領域の特性や、実施の可能性の高さ、それまでの基本的心肺蘇生処置の習得状況などに応じた適切な内容を盛り込んだ講習を行うことが期待される。なお、これらの講習の円滑な実施を図るため、上記(2) の公的な団体において上記(1) の内容に追加すべき内容の骨子等を示すことが考えられる。

(5)再受講の機会
  • 上記の講習を受講した非医療従事者については、その希望に応じ、一定の時間の経過とともに、再受講の機会が確保されることが望ましい。特に、非医療従事者のうち、上記(4)の業務の内容や活動領域の性格から一定の頻度で心停止者に応急の対応をすることが期待・想定される者にあっては、2年から3年間隔での定期的な再受講により、その知識と技術を充実していくことが期待される。
4 自動体外式除細動器について
  • 非医療従事者の使用する自動体外式除細動器は、誤使用の可能性がなく、簡便な操作で使用でき、誤使用を防止する観点から、手動での除細動が実施できないものであることが求められる。現在のところ、薬事法(昭和35年法律第145号)上では、第1の2に掲げた機能に着目した自動体外式除細動器の区分はないものの、薬事法に基づく承認を受けたものの中で、この条件を満たす機種を用いることが適切である。

  • こうした条件を満たす自動体外式除細動器にあっては、非医療従事者の使用に適応するものであることが一見してわかるような表示がなされることが期待される。

  • なお、現在、薬事法に基づく承認済みのものの中には、小児(8歳未満の者)に対応する機種がないことに留意する必要がある。

  • 自動体外式除細動器の管理については、設置者が責任をもって行うことが必要である。

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第4 国民の理解の促進と広く社会に普及するための対応
1 積極的な普及広報活動の実施
  • 非医療従事者による自動体外式除細動器を用いた病院前救護のための活動は、一般市民を始め多くの国民が救命に関与し、突然の心停止の際にまず現場で緊急に行われる救命処置がより迅速、的確になされるようにすることで、救命率の向上を目指すものである。したがって、国、地方公共団体、関連団体・学会など様々な主体が、この考え方を示し、国民の関心と、協力への意欲を高めるよう取り組むことが必要である。
2 自動体外式除細動器への国民のアクセスの向上のための関係者の対応
  • 不特定多数が利用する施設等で、設置者が、非医療従事者が活用できるよう自動体外式除細動器を備え付けている場合には、当該施設等に自動体外式除細動器が配備されていること及びその使用方法を明示することが期待される。

  • 例えば、自動体外式除細動器を備え付けている建物については、その旨を示す分かりやすいマークを入り口付近に表示したり、標識によって自動体外式除細動器の存在場所を明示したりすることや、あわせて不特定多数の者が集まる休憩室において心肺停止者が発生した場合の対処方法を掲示するなど、様々な工夫があると考えられる。

  • こうしたマーク、標識の開発などについては、講習プログラム等と並んで公的な団体の取組が期待されるところ。また、設置者の努力に対する技術的支援の一環として、設置された自動体外式除細動器が非医療従事者にとって使いやすいものであることや、その管理が適切に行われていることを確認した上で、これらのマークを与えるといった運用も考えられる。

  • 地方公共団体等公的機関は、例えば住民向けの公的施設の一覧や、公的施設を分かりやすく記載した地図を作製する場合には、自動体外式除細動器を備え付けている施設を明示したり、自動体外式除細動器の使用方法の記載を盛り込んだりすることなどにより、自動体外式除細動器への国民のアクセス向上のための取組を行うことが期待される。
3 成果の検証とさらなる向上のための見直し
  • 非医療従事者が自動体外式除細動器を使用した場合の効果については、救急搬送に係る事後検証の仕組みの中で、的確に把握し、検証することが適切である。なお、現在、病院外で行われる救急救命活動の有効性を評価するため、国際的に共通の調査項目で行うことが推奨されており、我が国でも、非医療従事者による基本的心肺蘇生処置の有無などを確認する内容を含む、新たな様式が用いられる予定である。

  • 非医療従事者による自動体外式除細動器の使用について、上記の検証結果などに基づき、条件として示した講習のあり方など、関連する取組の内容について、適切に見直すことが必要である。
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第5 おわりに
  • 本検討会は4回にわたる検討を通じ、非医療従事者による自動体外式除細動器の使用に関する基本的考え方と、必要な講習などの条件について検討を行った。

  • 行政にあっては、当検討会の検討を受け、非医療従事者が自動体外式除細動器を適正に使用する条件の整備を始めとして、速やかに課題について取組を進められたい。まずは、今回の提言に即した内容の講習が様々な主体により実施されるよう、関係団体における研究成果等を活用した技術的助言等を含め、取組が速やかになされるべきである。

  • 今後、少子・高齢化が進展する中で、我が国社会の安全安心の確保に努めていくに当たり、救急医療の充実による救命率の向上を図っていくことは国民的課題となっている。今回の検討を通じ、非医療従事者の自動体外式除細動器の使用を「救命の連鎖」の中に有機的に位置付け、整備すべき条件のあり方等を提示した。今後、一般市民と救急関係者が相互理解の下に協働の実を挙げ、さらには、経済的側面を含めて自動体外式除細動器の非医療従事者による使用の普及が我が国社会に及ぼす効果の検討・検証を深めつつ、国民の安全安心の確保に繋げていくことを期待するものである。
(注)
1) 野口善令、関本美穂、福井次矢 突然死の疫学 Cardiovascular Med-Sug 2001;3: 407-413
2) 厚生労働省 人口動態統計(平成15年は推計値)
3) 高松道生 剖検結果からみた内因性来院時呼吸停止(突然死)例の死因の検討
  日本救急医学会雑誌 2000; 11: 323-32
4) 東京都監察医務院 事業概要平成15年版
5) 総務省消防庁 平成15年版救急・救助の現況
6) Richard LP, Jose AJ, Robert CK, et al. Use of automated external defibrillators
  by U.S. Airline. N Engl J Med 2000; 343: 1210-6
7) van Alem AP, Vrenken RH, de Vos R, et al. Use of automated external defibrillator
  by first responders in out of hospital cardiac arrest: prospective controlled trial. BMJ.2003; 327: 1312-6

(検討経緯)
第1回 平成15 年11 月18 日 海外事例、航空機での利用に関するヒアリング
第2回 平成16 年1月22 日 海外事例などに関するヒアリング
第3回 平成16 年3月18 日 整理すべき論点の検討
第4回 平成16 年5月27 日 報告書骨子案の検討

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(別紙)自動体外式除細動器(AED)を使用する非医療従事者(一般市民)に対する講習(>>PDF



「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会」委員等名簿

(氏 名)

(役 職)
大越 裕文 日本航空健康管理室主席医師
五阿弥 宏安 読売新聞東京本社論説委員
小林 国男 帝京大学医学部救急医学教授
島崎 修次 日本救急医学会理事長
杉山 貢 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター
高度救命救急センター教授
鈴木 正弘 東京消防庁救急部長
竹下 彰 前九州大学医学部循環器科教授
野々木 宏 国立循環器病センター緊急部長
野見山 延 国立療養所西甲府病院院長
羽生田 俊 日本医師会常任理事 (第3回まで参加)
古橋 美智子 日本看護協会副会長
丸川 征四郎 兵庫医科大学救急・災害医学教授
丸山 英二 神戸大学大学院法学研究科教授
三井 俊介 日本赤十字社事業局救護・福祉部健康安全課長
雪下 國雄 日本医師会常任理事 (第4回から参加)

(オブザーバー(行政関係者))
警察庁長官官房総務課
〃 人事課
警察庁交通局交通企画課
防衛庁運用局衛生官
総務省消防庁救急救助課
文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課
国土交通省海事局船員労働環境課
海上保安庁警備救難部救難課

(事務局)
厚生労働省医政局指導課
厚生労働省医政局医事課
                            五十音順、敬称略)
                            ◎は座長




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